Mrs. Yukiは、自然界の遺伝交配に関心をいだいた平嶺林太郎と爬虫類や昆虫がもつ形状や色彩に惹かれる大久保具視が出会い、2009年に結成したアーティストユニット。ボールパイソンの飼育・繁殖を通じて生命の固有性に分け入り、生物学的な観察を造形の実践を試みる。生物学的観測と作品の彫刻的な実践を統合し、生命の固有性と多様性を探求しながら制作活動を行っている。これまでの作品は、飼育ケースが既成の椅子やキャビネットに組み込まれた《Life-Life》では、ボールパイソンの飼育が作品自体に付与され、交配によって生まれた表皮模様と変異種の継承が図られている。《Footprint》は、モルタルを這うボールパイソンの痕跡をとどめ、表面は墨汁が塗られている作品。凝固前の支持面を進む蛇の運動は、筋肉の蠕動によって溝の深度や線の強弱を生み、あたかも書の筆致のようにその「足跡」が刻まれている。生命の所作が線やかたちとなる作画の手法に立ち返り、書と絵画、また本能的な反応と偶然性とが未分化な領域として捉えられている。《Emblem》では、昆虫のもつ保護色や模様のパターンがエンブレムの図案のように組み替えられ、作家の介入による自然の変形が、昆虫標本として実証的に示さている。同様の関心は、植物の奇形をとらえるデジタルコラージュ《Fasciation》にも表れ、茎頂にある成長点の異常が引き起こす帯化とよばれる現象をもとに、自然界にあふれる形態が意図的に再構成されている。自然界がうみだすエネルギーに満ちた色彩と幾何学的な図形を自在に取り入れ、自然のあり方を浮き彫りにするこうした活動は、新たなかたちや種が生まれる諸条件を反映し、生命そのものの不思議や価値を美術の体系のうちに位置付ける試みとなってる。

                                    

 

 

Biography

 

【2009】 
Mrs.Yuki 結成
【2010】  
rgb+(東京造形大学 ZOKEI Gallery/東京)
HABU+JIM(東京造形大学 CS PLAZA/東京)
【2013】  
物質と彫刻 −近代のアポリアと形見なるもの− 展(東京藝術大学陳列館/東京)
Identity IX −curated by Reiko Tsubaki−(日動コンテンポラリーアート/東京)
life-life(CAPSULE/東京)
DOUBLE MESSAGE(SCAI THE BATHHOUSE/東京)
自由について3 高橋恭司 Mrs.Yuki(TRAUMARISU SPACE/東京)
CSP1 - Amplitude 場への働きかけ -(桑沢デザイン研究所/東京)
【2014】 
Find ASIA(ヨコハマ創造都市センター/神奈川)
第19回ナマ・イキVOICEアートマーケット(アミュプラザ鹿児島/鹿児島)
【2016】 
足跡(駒込倉庫 Komagome SOKO/東京)
ART VACANCES(GALLERY HIRAMINE/鹿児島)

ZOKEI NET 50(アーツ千代田3331/東京)
【2017】
ART VACANCES(上甑島観光センター跡/鹿児島)

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